コストブログ2 【書評】塩野七生著『海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年―』(ver.1.5)

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【書評】塩野七生著『海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年―』(ver.1.5)

 6月末の沖縄旅行あたりからずっと塩野七生のイタリア関係の本を読んでいるが、どれも面白い☆

 偶然最初に『ルネサンスとは何であったのか』を読んだのも入門編としてはちょうど良かったが、今は『海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年―』の3巻まで読み終わった。
 
 都市国家として成立したヴェネツィアの素晴らしい国家運営(統治ではなく、会社経営に近い)、経済を中心に政策で、専制君主国家にもならないよう権力の集中を避け、独自の政治機構を生んだところは、「こんな形の国家もあるのか」と人間の歴史のバリエーションの深さを思う。

 世界史で第4次十字軍を、
「第4回十字軍(1202年 - 1204年)は、フランスの諸侯とヴェネツィアを中心として行われ、結果的にキリスト教国の東ローマ帝国を攻略し、コンスタンティノープル(現イスタンブル)を陥落させ、略奪・殺戮の限りを尽くしたため、最も悪名の高い十字軍と言われる」
と授業で習ったが、それをヴェネツィア側の歴史と見れば実際はどういう事情だったのか、面白いほどその謎が解けた☆

 省略するけどそんなにいろんな事情あったのか、銭ゲバだけじゃなかったんだな、納得。塩野七生グッジョブ!!世界史の授業でもこういう説明があると面白いんだけど、今の授業は受験用だからそこまでやらないんだよなあ。でも、世界史やっておいて良かった。

 ほんと、悪ってのは見る立場によって変わるなあ。ヴェニスの商人とか、あれを史実だと思ってたらダメだな(笑)。

 そして、3巻の同じくイタリアの都市国家のジェノヴァとの海洋国家との覇権をかけたライバル決戦は、これが歴史を元に書かれたとは思えないほど手に汗握った。

 簡単に説明すると、
 組織力と政治力のあるヴェネツィア、個人主義(共同歩調が大嫌い)で天才的な船乗りを生み出すジェノヴァの、まったく異なる海洋都市国家同士の百年以上の争いは、経済的にも軍事的にも同じ規模の国家同士なので両者ともに決定的な勝利を勝ち取れないまま続いていたが、

 1378年、第4次ジェノヴァ・ヴェネツィア戦役で、ついにジェノヴァがハンガリー王国とパドヴァ僭主との三国同盟と、海戦の勝利によってヴェネツィア本国を包囲するに到る。
 
 陸上も海上も封鎖され、建国以来の危機が迫ったヴェネツィアは、他国からの援軍も期待できない状態で死力を尽くして防戦をすることを決意する。

 ここで、ヴェネツィアの組織力と政治力が発揮される。
・元々、食糧を輸入に頼っていたヴェネツィアは、常時三ヶ月分の備蓄がある小麦を配給制にする
・各地域の防衛には、その区の住民が受け持つ総動員令を敷く(当時のヴェネツィアには陸軍がない)

・ヴェネツィアの城壁ともいえる潟(ラグーナ)の水路にジェノヴァの艦が入れないように杭を打つ。
(ラグーナの中にある島がヴェネツィアなので、陸からは攻めることができない。海からはラグーナの水深が複雑なので、座礁の危険を避けたジェノヴァは直接的な攻撃はせずに包囲して干上がらせて降伏させようとした)

・海戦で敗退した艦隊を造船所で再建する。しかし、艦には戦闘員と水夫がいるので、戦闘員は傭兵を雇うことにして、その費用を貴族への国債の割り当てと、多額な寄付をした者には政治に参加できる貴族の資格や、外国人なら市民権を渡すことにしてまかなう。
 水夫は海外からの調達ができないので、一般市民の商店の店主などを駆り出して特訓し、にわか水夫に仕立て上げる。

・ジェノヴァの勝利に終わった先の海戦には参加してなくて、海外に出ている別のヴェネツィア艦隊を呼び戻すため、包囲網を突破する決死隊を出す

・敵の三国同盟の解消のために外交交渉を続ける

・海戦の敗戦の責任を問われて投獄されていた海戦の司令官を、法の権威を捨ててでも釈放し、再び海戦の指揮を任せる決断をする。(これには、船乗りたちからの絶大な支持が司令官にあったという背景がある)

 自力で防ぎきると、背水の陣で挙国一致体制を敷いたヴェネツィアがジェノヴァを追い払うところは、本当に歴史って面白いって思った。

 著者の塩野七生は、「優れた統治能力こそ、資源を持たない、土地と人口の少ない都市国家にとって、生きのびる唯一の道であったからである」と書いている。1300年代の話だよ、これ。

 また、ヴェネツィアが長く繁栄したことについて、
「すべての国家は、必ず一度は盛期を迎える。しかし、盛期を何度も持つ国家は珍しい。なぜなら、一度の盛期は自動的に起こるが、それを何度も繰り返すのは、意識的な努力の結果だからである」
とも書いている。
 
 その後、ジェノヴァは個人主義の一方で政治的には内ゲバが多くまとまりを欠き、国家としてはヴェネツィアよりも先に衰退していく。
しかしながら、ジェノヴァの船乗りが優秀なのは後にアメリカ大陸を発見するコロンブスが出たことでもわかる。

 ああ、イタリア行きたいなあ。ヴェネツィア、ジェノヴァ、ローマ・・。よだれが出そうだ。でも、今のイタリア人って「イタ公」って呼ばれるほど、マナーが悪いとヨーロッパじゃ言われてるんだよなあw

 元々は、移動中にスマホの電池が予備も切れた時の読書用と、機内で電波が使えない時に読み始めたのだが、めっちゃはまってる。残り、4.5.6巻も楽しめる。塩野七生の文章がこれまたうまいんだよなあ。そのなめらかさと鋭さにほれぼれする。
機内での本
沖縄から羽田に戻る機内で読んでいた 『ルネサンスとは何であったのか』

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tag : 塩野七生 海の都の物語 ヴェネツィア

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